食物繊維でうつ病を治す!「第2の脳」と言われる腸内環境を良くしよう!

栄養

こんにちは。
スポーツ栄養スペシャリスト・パーソナルトレーナーのあづきです。

腸が第二の脳と呼ばれていることはご存じですか?

国立国際医療研究センターが発表した研究によると
「野菜・果物からの食物繊維を多く摂取している人は摂取が少ない人に比べて抑うつ症状が少ない」
ということが明らかになっています。

また近年、腸内細菌が脳機能に影響を与えるという研究結果が多数報告され、
腸内細菌に良い影響を与える要因として食物繊維の関心が高まっています。

なぜ、食物繊維がうつ病と関係するのでしょうか。
今回は、その理由について考察しました。

【結論】

結論として、2つの理由があると考えました。

食物繊維が小腸で発酵されてできる単鎖脂肪酸が抑うつ症状を引き起こす炎症を抑制するから

食物繊維で腸内環境が改善し栄養素の吸収率が高まるから

理由を知りたい方は、このブログを読み進めてみてください。

 

食物繊維とは?

そもそも、食物繊維とは何なのでしょうか。

食物繊維は炭水化物の一種であり、糖質とは異なりヒトが消化できないため、消化吸収されず排出されてしまう栄養素です。

カロリーは2kcal/g、発酵分解を受けない食物繊維の場合0kcal/gとされています。

消化吸収されないはずなのに2kcalあるのはなぜ??

と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

その理由は、食物繊維は小腸まで届くと善玉菌のエサとなり、
善玉菌は食物繊維をエネルギー源とし腸内で「発酵」を行います。

発酵の結果、「短鎖脂肪酸」という脂質の一種が生成され、

その短鎖脂肪酸を取り込む際のカロリーが2kcalというわけです。

しかしながら、糖質・タンパク質が4kcal/g、脂質が9kcal/gのため
三大栄養素と比較しても最も低いカロリーということになります。

食物繊維の発酵の結果産生された「短鎖脂肪酸」が

抑うつ症状を引き起こす炎症を抑制する結果、うつ状態が改善するといわれています。

また、国立国際医療研究センターの論文で

野菜・果物由来の食物繊維摂取量が最も抑うつ症状を抑えることが出来たと報告されています。

 

うつ病になる理由

そもそも、どうしてうつ病になるのでしょうか?

「うつ病を引き起こす原因はひとつではない」ということがさまざまな研究からわかっています。

非常につらい出来事や環境の変化は発症のきっかけにすぎず、

それ以前からの要因の小さな積み重ねや、

遺伝的要因、慢性的な身体疾患、妊娠出産や更年期障害などの内分泌変化、

そして栄養状態の悪化により脳内の神経伝達物質がうまく作れないこと、伝達がうまくいかなくなることもうつ状態の原因と考えられています。

 

神経伝達物質って何からできてるの?

神経伝達物質の代表である「セロトニン」や「ノルアドレナリン」は、人の感情に関する情報を伝達する物質であることがわかっています。

この「セロトニン」や「ノルアドレナリン」は、
どちらもアミノ酸が、体内で変換されてできる神経伝達物質です。

「セロトニン」は別名幸せホルモンとも呼ばれていますが、

これは必須アミノ酸である「トリプトファン」から合成されます。

体内で合成することは不可能なため、必ず食事から摂取する必要があります。

トリプトファンが多く含まれる食品は、大豆・豆製品・乳製品などがあります。

アミノ酸はタンパク質を構成する最小単位です。
要するに、タンパク質が大事ということですね!

また、体内でトリプトファンからセロトニンを合成するには

ビタミンB6という材料が必要になってきます。

そのため、タンパク質をただ摂ればいいというわけではなく、

ビタミンB6も同時に摂取する必要があります。

しかし、安心してください。多くのお肉・豆・乳製品には、含有量の差はあれど、ビタミンB6が含まれています。

ただし、アミノ酸をサプリメントで摂取してしまうと、ビタミンB6が含まれていないものもあるため、注意が必要です。

これが、食事から栄養を摂ることが大事な理由なんですね!

今回は、セロトニンを例にして紹介しましたが、

他にもこころを司る神経伝達物質は数えきれないほど存在し、
まだ現代の科学では見つかっていないものも多くあるでしょう。

このように食物から摂取できる栄養素を
うまく吸収し・うまく代謝し・うまく使う力が
抑うつ症状を防止するためには必要不可欠であると言えます。

 

腸内環境の改善で栄養素の吸収率が高まる

初めに紹介した通り、

食物繊維は、水溶性食物繊維・不溶性食物繊維どちらも

便を粘調性にしたり、有害物質を吸着し、かさを増すことで

簡単に言えば腸内を掃除してくれる役割があります。

その結果、腸内環境が改善し、炎症も抑えられることで
小腸の微絨毛からの栄養の吸収が良くなります。

そのため、体内の神経伝達物質の産生やそれに必要な栄養素をしっかり吸収してくれるというわけです。

 

まとめ

身体というのは、様々な臓器が働き合って、信号を送り合い体調を調節しています。

うつ病に近い症状になると言われている血糖値の乱高下を調節してくれるのは、膵臓や副腎、肝臓などが挙げられますが

これらも日頃からビタミンやミネラルが足りていないと機能が低下してしまいます。

そのため、日本人の食事摂取基準に沿った栄養バランスの食事をすることが最も効果のあるうつ病の予防法であると考えます。

 

〈参考〉
(1)Miki T, Eguchi M, Kurotani K, Kochi T, Kuwahara K, Ito R, Kimura Y, Tsuruoka H, Akter S, Kashino I, Kabe I, Kawakami N, Mizoue T. Dietary fiber intake and depressive symptoms in Japanese employees: the Furukawa Nutrition and Health Study. Nutrition
(2)厚生労働省 こころの耳 2.うつ病の主な症状と原因